ちょんちょんと肩を突かれる。はっ!? しまった! まさか声に出てた!? 補聴器を外していたら自分がどんな声量で騒いでいたかわからない! 優武になんて迷惑を!

「優武くんごめっ――」

 泣きそうな勢いで謝ろうとしたら、優武は優しい仕草で首を振ると掛布団をめくり、隣で寝ませんかと言わんばかりに敷布団をポンポンしている!!! はい、お邪魔します!!!

 不思議だ。キスをするわけでもないのにこんなに近くに優武の顔がある。灯りがないのに優武が優しく微笑んでくれているのがよく見える。

 ああ、もう、この人好き―――!!!

 こうして優武との初旅行は同衾で幕が下りたわけだが、それから一週間ちょっと経ったある日の事。デートでいつになくいいムードになったその帰り、ホテルのベッドで愛し合う事ができた。

お互い初めてという事もあってうん、まあ、ギクシャクしたし、緊張したし、戸惑ったし、上手くいかない事もあったしでこう、百点満点の初体験とは言えないかもしれない。それでもとにかく幸せだった。身体を重ねているときも、隣で横になっている時も、最中も、終わった後も、ずっと、ずーっと幸せだった。