好きな人と一緒に告白現場に遭遇しました。

「——だったらさ、こんなとこに来てないで、ちゃんと自分の気持ち、言った方がいいよ。後悔しても知らないよ?」


 気付いたら、口が勝手にそんなことを言っていた。

 よくそんな思ってもいないことが言えるなって、我ながら感心しちゃう。


「え、どういう意味? ひょっとして……好きなヤツが他にいるってこと……?」

「知らないよ。吉見さんに直接聞いてくればいいじゃん!」


 思わず声を荒らげてしまってから、今、規則を破ってホテルの外に出ているんだってことを思い出したけど、心の中にどす黒いものが渦巻くのをどうしても止められない。


「え、なんで吉見? 神崎って、吉見と仲よかったっけ?」

「別に。仲がいいってほどではないけど」


 なにを言ってるんだろ、この人は。


「でも……そうだよな。他のヤツがどうとかじゃなくて、まずは俺の気持ちを知ってもらわなくちゃだよな」


 つぶやくように言うと、一人で何度かうなずく宮部くん。


「そうだよ。……それじゃ、わたし、そろそろ部屋に——」

「待ってよ。今からちゃんと言うから」


 ホテルに戻りかけたわたしの腕を、宮部くんが、がしっと掴んだ。


「……え?」