私の人生を変えてくれた人 〜もし君が生きてたら〜 後編


「…………翔太もいい人だよ
 私のこと気にかけてくれるし」

「もう俺がいるからいいの!
 俺が香音のこと気にかけるから佐藤のはいらない!!」

「フフッ」

「あ、笑ったな!?
 俺は本気なんだぞ!」

「分かってる
 雄斗は優しいなーって
 こんな私にも…………」

「香音…………一つだけ聞いてもいいか?」

「ん?」

「どうして………病院行かなかったんだ…?
 山中先生が一人じゃ絶対来ないって………」

「…………普通、わざわざ嫌いなところに行く?」

「…………前の病院はちゃんと行ってただろ」

「……………………前から嫌だったのに無理矢理連れて行かれてたの
 それに…………あの時はまだ頑張ろうと思えたんだよ………お母さんが守ってくれた命だから………」

「………今もそれに変わりないだろ?」

「…………………怖いんだもん
 一人で病院にいるのが……………いたくないんだもん…………」

「…………どんなところが怖いんだ?
 注射とか?」

「…………注射なんてとっくの昔に慣れたよ
 そんなのが怖いわけない」

「………慣れちゃったのか…………」

「………………改めて感じるんだよ
 ここって………死が身近に感じる………
 こうしてる今だって………誰かが亡くなってるかもしれない
 昨日まで笑顔で話してた子が………突然いなくなって……………」

気づけば再び香音の目からは涙が出ていた