私の人生を変えてくれた人 〜もし君が生きてたら〜 後編


結婚に対する香音の気持ち………こんなに素直なのは初めて聞いたかも

「……俺にはまだ、未熟なところがたくさんあります
 時には香音を不安にさせることや悲しませることもあると思います」

「うん、既に不安にさせてる
 なんであんなにラブレター貰ってるのかな…………宣戦布告?」

「え、見たの?」

「普通に見えるところに置いてあったんだもん
 まぁ………変に隠されるよりは良いけどさ
 指輪の意味ないじゃん」

「ちゃんと意味あったよ
 でも、最後に気持ち伝えて終わりたい人が多かっただけ
 全部断ったからな?」

「………………なら良いけど」

「じゃないとここには来ないよ
 ………教師としてやってはいけないことをした俺を………受け入れて下さったこと、とても感謝しています
 あの頃からずっと、香音のことを愛しています
 それは今もこれからも変わりません
 娘さんを俺にください」


その瞬間、とても優しい風が吹いた

「………きっと、お母さんが良いよって言ってくれてるんだよ」

そう言う香音の手には一枚の桜の花びら

「……そうだな
 お母さんに安心してもらえるよう、香音のことを絶対に幸せにします
 香音のこと産んでくれて………出会わせてくれてありがとうございました
 あの時も………守ってくれてありがとうございました」

「私も、ありがとう
 ちょっと前までは…………私が死んでればって思ってたけど………生きれて良かったって思ってる
 もちろんお母さんにも生きてて欲しかったけど…………守ってくれてありがとう
 お母さんが守ってくれた命、大事にするね
 お母さん、大好きだよ」

そう言った香音は泣いていた


でもその顔は………



今まで抱えていたものを振り切ったような顔で





とても美しかった