「うん……………」

「それで………時間通りにコインパーキングの方に向かって…………でも文香ちゃんの方が先に出てたみたいでさ
 数十メートル先にいる文香ちゃんが見えて………横断歩道を渡ってた…………車が来てたのに」

「っ…………」

「多分気づかなかったんだと思う……あの日、雨も降ってて視界悪かったから……」

「そんな……………」

「どうにか追いつけてさ……文香ちゃんは突き飛ばしたけど俺は………っていう感じかな」

「雄斗…………」

「情けねぇよな………自分はこうなって………奏斗にも文香ちゃんにも責任感じさせて」

「雄斗は凄いよ
 ありがとう……文香を助けてくれて」

「香音の大切な友達だもんな」

「うん!」

「…………俺さ、別に腕治らなくてもいいんだ」

「えっ…………」

「……もう十分過ぎるほど色々なところで診てもらった
 でも結果は全部同じで………もう諦めてるから」

「…………そんなこと言わないでよ
 雄斗の腕は治るよ…!」

「………香音の気持ちは嬉しいよ
 ありがとうな、俺のために
 でも………もう治らないと思うぞ」

「山中先生は凄い先生だよ!
 山中先生なら絶対に治してくれるから!!」