「やだ………」

「どうして?
 帰りたくないのか?」

「……帰る………………」

「山中先生の話聞いたら帰ろうな」

「やなの………」

「香音が山中先生の話聞かないと俺も香音も帰れないよ?」

「……………先に帰ってれば良かったのに………」

「こんな泣き虫な子置いて帰れるわけないだろ?
 一人なのも心配だし…………それにさっき約束しただろ?
 置いて帰らないって」

「………………………」

「あと少しだけ頑張って一緒に帰ろ?
 俺も一緒にいるからさ」

「……………一緒にいてね…?」

「もちろん
 じゃあ……呼ぶな」

そしてナースコールを押した



するとすぐに山中先生は来てくれた

「下山さんありがとうございます」

「いえ」

「……香音さん、体調はどうですか?」

「………………………………」

「…………もう後藤先生のところには連れて行きませんから
 本当にすみません…………
 君が話したいと思った時に……聞いて欲しい人に話してください
 君は一人じゃないですから」