「河本君!
お待たせー」
「……………………」
下山先生の言う通り、さっき会ったところにいた
「これ、給食!」
「………………………ありがとうございます………では……」
「あっ、ちょっと待って!
……一緒に行ってもいいかな…?」
「……………別に」
「ありがとう!
じゃ、行こう!!」
河本君からも許可を得られたからついていくことにした
「私、今日から教育実習で来たの
水無瀬香音って言うんだー
よろしくね!」
「…………………河本大樹です
………よろしくお願いします」
河本大樹君………かっこいい名前だな………
そう思っていると、あっという間に空き教室に着いた
「いつもここにいるの?」
「…………はい」
「おぉ、ちゃんと勉強してるー
偉いね」
「別に…………」
「あれ、でもこれ……………高校生の?」
「……………………」
「…………………(1)と(2)は合ってるけど(3)は違うと思うよ」
「えっ…………」
「あ、ごめん!
勝手に見て嫌だったよね!
本当ごめん!!」
「いえ………………分かるんですか……?」
「これでも数学の教師目指してるからね」
「えっ………数学なんですか……?
下山先生と一緒にいたのでてっきり社会かと………」
「あー、授業は高梨先生と一緒だよ
クラスは下山先生のところになっただけなんだ
だからさっきは一緒にいたの」
「そう……だったんですね………」
「うん!
それに私、社会無理だから!
社会が無理すぎて理系にいったから」
「なるほど……………あの……………ここの問題…………教えてもらえませんか……?」
「いいよー、私で良ければいつでも!
えーと…………どの辺から分からないかな?」
「…………この辺りから…………」
「え、ここまで理解できてるんだ
凄いね!まだ中3だよね?」
「はい…………」
「よし、じゃあこの辺りからいこうかなー
ここをこうするとxの値が出て……………………」
「…………………………」
「……………………………って感じで答えが出るよー」
「凄い…………本当に出た…………」
「後は、この方法でもできるけどこっちの公式を使ってやった方が早く解けると思う!」
「こっちの公式ですか……?」
「そうそう
ここに数字を代入して………」
「水無瀬先生!」
誰かに名前を呼ばれ後ろを振り返った
「…………水無瀬先生、時間見てください」
「えっ…………あっ!」
後ろには高梨先生がいた
しかも時計を見るととっくに給食の時間になっている
「すみません!
すぐに戻ります!」
「…………今後気をつけてください
下山先生が心配してましたから…………」
「本当にすみません……
河本君もごめんね
給食食べる時間減っちゃったよね」
「いえ………僕は大丈夫ですけど………僕のせいですみません………」


