大好きなもの

「直君。」


そう呼んで、手を差し出すと。


いつも、すって直君の手が差し出される。


私たちは幼なじみ。


小さい頃から一緒だった。


友達として。


今は彼氏として。


私の隣にいてくれる。


「帰ろうか、桜。」


「うん。」


昔は同じくらいの大きさだった手。


でも今は、私の手を包みこんでしまう。


「ほんと、桜の手は小さいいな。」


「そんなことないよ。直君が大きいの。」


大きな直君の手。


暖かくて、安心する。


この手は、私に幸せをくれる。


小さいころから、大好きだった。


「ねえ、直君。」


「ん?」


「知ってた?」


「何を?」


「私ね、直君の手、大好きなんだよ?」


「知ってたよ。だって、この手は桜のためにあるんだから。」


「私のため?」


「桜を幸せにするため。桜の涙を拭くため。それから・・・」


「それから?」


「桜の暖かい手を包むため。」


そう言って直君は笑った。


それにつられて、私も笑った。