日給10万の結婚

「さ、今日は終わりにしろ。いいか、何かを極めるにはそれなりの休息も大事なんだ。昨晩も言ったが睡眠は勿論、食事やホッとする時間もな。じゃないと脳が悲鳴を上げる。今からは猫背でも文句言わないから、普通に戻っていい。頑張りすぎてぶっ倒れたら逆に迷惑」

 優しいのか厳しいのか? そりゃ頑張りすぎてダウンしたら困るのは玲だろうけど。私を心配して言ってくれてる……わけがないか。

 頷いて素直に片付けに加わった。

「じゃあまた明日頑張ります」

「よし寝ろ。昨日も言ったが貧乳には欲情しないから安心して寝ろ」

「二回も言わなくてもわかってるんですけどー!?」

「それならよかった」

 どこか意地悪そうに口角を上げた玲を睨みつける。私は本を袋に仕舞いながら言った。

「思ってたけど玲って絶対モテないでしょ?」

「はあ? 誰に向かって言ってんだ。二階堂玲だぞ、モテないわけないだろ」

 玲は本当に不思議そうな顔で私を見てきた。私はふふんと笑って見せる。

「だって性格悪いし貧乳とか馬鹿にしてデリカシーないし口も悪いしいいとこなんもないじゃん。ぜーったい女に敬遠されるタイプだもーん」

「お前がびっくりするぐらいモテてたぞ。言っておくが口説こうと思ってる女に対しては俺は紳士だ」

「誰にでも紳士であれよ!」

「ゴリラに紳士になる必要はない」

「ゴリラじゃない!!」