日給10万の結婚

 私は大きな声を出してしまった。そんなこと、絶対にないと思っていた。あれだけ息ピッタリだった二人が、今更仲間割れだなんて、どうしたのだ。手を合わせて私を陥れたくせに。

 圭吾さんは遠い目をしながら説明してくれた。



 玲に絶縁宣言を受けたあと、意外にもマミーは楓さんの素行調査を依頼したらしい。一応、あんな人にも良心が僅かにあったのか。最後の玲の言葉を聞いて、やっとメロンに疑いの目を向けたのだ。

 これがまた、結果がすごかったらしい。たった二、三日で、メロンが他の男と楽しんでいる決定的な証拠が取れてしまったとか。ちなみに男性三人とホテルに入っていったとのことで、私の想像を上回る奔放さ。

 さらに、メロンにいじめられたという女性の証言や、使用人の証言などもすぐに取れてしまった。玲を好きだなんてことも全く嘘で、二階堂の嫁という座だけが欲しかったのだという本音も、簡単に揃った。こんなに簡単な素行調査も中々ない、と言われたそうだ。

 結果を知り、マミーは卒倒。

 圭吾さん曰く、玲に基本無関心ではあったものの、彼女なりに『二階堂玲の嫁として相応しい女性』という概念はあったそうだ。彼女の中では、楓さんは美人で金城家のお嬢様。明るく気が利く。そしてそれまでずっと、玲を慕っていると言っていた楓さんの言葉を鵜呑みにしてきたらしい。

 マミーは楓さんを呼び出した。そして、これは一体どういう事なの、と詰め寄ったそうな。

『何かの間違いですお義母さま。きっと舞香さんが手を回したんです』