歯を磨いて寝室に入る。ベッドにダイブすると、すでに眠気が襲ってくる。少しだけスマホを眺め、うとうとしていると、しばらくしてやらようやく玲が入ってきた。私はしょぼついた目で彼を見る。

「電気消してー」

「……分かった」

 部屋が暗くなる。私は枕に頭を沈め、寝る体制に入っていた。

 玲がこちらに近づき、ベッドに体重をかけたのが分かった。ふと目を開けてみると、彼は腰かけたまままだ横になっていない。不思議に思いそれを眺めていると、玲が小さな声を出した。

「舞香」

「ん~?」

「……俺さ」

「んー……」

「お前に、隠して る が…… あるん……」

 布団の柔らかさと温かさに睡魔が刺激される。私は瞼を閉じ、アルコールの力もあり、そのまま深い闇に沈んでいく。

 何か玲が言いかけてた気がしたが、果たして夢か現実かよく分からない。

「んー玲、よく寝なよ……」

 彼に休みの言葉だけ掛けると、私はそのまま完全に夢の世界へと沈んでいった。




「……嘘だろ、寝るのはっや。せっかく言うチャンスかと思ったのに」

 玲のため息を、私は知らない。