「んで、誰と喧嘩したんだ?」

「……あに、と」

「兄妹喧嘩か! だったらなおさら気にするなよ。家族だろ? そんなこともあるって」

 私を泣き止ませるためか沢里は明るく笑い飛ばそうとする。

 沢里は友達。【linK】のファンというだけではなくて、【linK】のことを分かったうえでちゃんと私の友達になろうとしてくれている。

 ならば私も、沢里に応えたいと思った。

「本当の家族じゃないの」

「え」

 親の再婚でできた義兄だと説明すると、沢里は複雑な顔をする。

 家族のことを説明するのは緊張する。けれどこれを言えないと、ここまで駆けつけてくれた沢里の気持ちに応えられないと思った。

 もらったジュースを一口飲み、意を決して口を開く。