ぽんぽんと頭を軽く叩かれる。喧嘩ではない、一方的に私が殴ったのだ。
そう説明しようとした口は全く別のことを呟いていた。
「がっかりした?」
自分でも驚くほど弱弱しい声だった。到底【linK】の声とは思えない、小さな情けない声だ。
それでも沢里は私の怪我のない方の手をぎゅっと握って言った。
「そんなわけない。俺はリンカの友達だから」
『【linK】かどうかは関係なく、まずは……友達からお願いします!』
その台詞を聞いたときは半信半疑だった。
友達とはわざわざ言ってからなるものだっただろうか。そんな始まりを経験したことがなかった。
けれどそれは確かに私が心の奥底で望んだ言葉でもあって。
そして今、泥濘に沈み込んだ私を引っ張り上げる、強烈な力を持つ言葉でもあった。
