人を殴ったことを沢里に言ってしまった。幼い子供のように泣きながら。
段々情けなくなってくる。沢里はきっと心配してくれていて、家が違う方向でも駆けつけてくれようとしてくれている。
どうして一人でなんとかできないのか。沢里を待っている間、私はひたすら星を見ていた。
「リンカ!」
どれくらいそうしていただろう。聞こえてきた沢里の声に私はほっと胸を撫で下ろす。
自転車乗って猛スピードで迫ってくるその背中から、ソフトカバーに入ったギターが見え隠れしている。
自転車から降りたそのままの勢いで私の隣に腰かける。
肩を上下させながら、沢里は私の頭や肩をぺたぺたと触り始めた。
「怪我してないか!? 大丈夫か!?」
「う、うん」
現れて早々に真面目な顔で問われてしまうと触るなとも言えない。
右手を隠そうしたのがバレて、袖を掴まれ目の前に引きずり出される。
赤く染まった絆創膏を見て沢里は眉間に皺を寄せた。
