その声を聞いた瞬間、後悔と安心感が押し寄せて、ぶわりと視界が滲んだ。

 自責の念が渦巻く中、なにも考えず普通に接してくる沢里に気持ちが救い上げられる。

 空を見ながらぼろぼろと涙が零れるのを感じた。

 少なくとも今沢里だけは私を責めないでいてくれるような気がして。

「――沢里、」

「リンカ……泣いてるのか?」

 耳のいい沢里には泣いていることがすぐにバレてしまったようだ。

 私は嗚咽をかみ殺しながら、なんとか声を絞りだす。

「私……殴っちゃった。人を、グーで思いっきり。私、私……っ」

「――リンカ今どこにいる?」

「……えと、星合公園のベンチ」

「すぐ行く」

 ぶつりと通話が途切れた。私はスマホを持つ手をだらりと下ろし、今の会話を反芻する。