「俺――頑張るよ。Masakiさんくらい上手く歌えるようになって、リンカを安心させるから。だから、その、元気出せって!」

「うわ、分かった分かったから!」

 柾輝くんくらい上手くとは大きく出たものだ。

 がくがくと肩を揺さぶられながら、沢里の手が大きいことに気付く。これだけ指が長かったらオクターブも楽々届くだろう。

 羨ましいと伝えるとぎょっとした顔でこちらを見てくる。

「俺の方がリンカのこと羨ましいと思ってるに決まってるだろ!」

「一体なにに張り合ってるのよ」

「あと正直言ってMasakiさんも羨ましいです……」

「リンカに頼りにされてて」なんてしょんぼりとしながら言うものだから、私は思わず声を出して笑ってしまった。