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 時期外れの転校生が現れてから数日が経った。

 沢里には二度と校門で待つなと釘を刺したおかげで、登校時は平穏無事に過ごすことができている。

 しかし一旦教室に入ってしまうと凪いでいた空気が一瞬で暴風に変わってしまうのが最近の悩みであった。

「おはようリンカ! 昨日の音楽番組見たか?」

「今週の洋楽チャートはもうチェックした?」

「今日のお弁当のおかずは?」

「リンカ? なあリンカ」

「あーもう! 今は土井ちゃんと話してるんだからあっち行って!」

 沢里の「友達になろう」宣言の後、学校にいる間は授業中以外ずっとこうだ。

 延々と話しかけられ、土井ちゃんとの話にも混ざろうとしてくる始末。