「ステータスに興味があるって、沢里もそうでしょう。あの先輩たちとなにが違うの?」

「え?」

 その時初めて沢里の笑顔以外の表情を見た。虚を突かれたような、不思議な表情で私を見返してくる。

 かみ合わない会話ばかりしていた中で、私の言葉がようやく届いた。そんな気がした。

「私のこと【linK】としてしか見てないあなたとなにが違うの? じゃあ聞くけど五十嵐凛夏に興味がある? ないよね。それと同じじゃない」

「それは……」

 沢里は難しい顔で押し黙ってしまう。その目は真っ直ぐに私を見ているのに、どこか遠くを見ているようにも感じさせた。

 彼は【linK】にしか興味がない。それは大いに結構だ。私も本当の私は【linK】だと思っている。

 ただ、だからこそ。昨日会ったばかりの存在にさえ、【linK】ではない私はいらないと言われているような気がして。

 それに自分のしていることを棚に上げて自分だけ困っているような顔をされるとモヤモヤしてしまうのだ。

「――まあ私は別にそれでもいいけど。ごめん、それじゃあ」

 よく考えたら親が有名だと人には分からない苦労もあるだろう。

 謝ったのは少し言い過ぎたと思ったからだ。ダシに使われたことを考えれば許してほしいところではある。