もしかしたら沢里はあまり女子が得意ではないのではないか。ふとそんな可能性に辿りつく。この笑顔は【linK】に対する営業スマイルなのかもしれない。

「だからそういうステータスを全部とっぱらって、ただの沢里初春として歌いたいと思ってた。そんな時に、目の前に【linK】が現れたんだ。【linK】は自分の作り出した音楽だけで評価されてる。俺と正反対の存在だ。正直、悔しいほど憧れてる」

 どうやら私が思っていたよりも、沢里は【linK】に重い感情を抱いているようだ。言いたいことは理解できる。沢里も本当の自分を押し殺しているのだ。

 互いに共通点があるにもかかわらず、正反対の存在というのは、ある意味正しいのかもしれない。

 私とは考え方が違う。