五十嵐凛夏ははっきり言って友達にいないタイプの女子だった。

 パッと見地味で目立たない大人しい系かと思いきや近くで見ると鼻筋が通った美形であるし男子にも物怖じしない胆の据わった性格をしている。

 サブカル系の友人と大型犬を従えている姿にはもはや貫録さえ感じさせるが、音楽のことに関してはまるで子供のようにはしゃぎまくったりして実態が見えない。

 先輩たちにシメられても結局は思いどおりにならなかった「自分の世界」を持っている人間。

 つまり私とは正反対で、当初私は五十嵐凛夏のことが大嫌いだった。