曲と曲の間で不意に照明が消える。
機材トラブルだろうか。
一旦はけたほうがいいかもしれない。
沢里と話し合おう。
そう思った時、舞台上でなぜか私だけスポットライトで照らされた。
「ハッピーバースデーディアリンカー!!」
「ハッピーバースデートゥーユー!!」
沢里の歌に観客が乗って大合唱が巻き起こる。
私はただ呆然として、ライトの陰から登場した沢里を見やる。
ケーキを持った沢里が得意げな表情でこちらに近づいてくる。
「ドッキリ大成功〜!!」
「……もう!」
聞くと私の誕生日をステージ上で祝うための準備をしていたらしい。
ライブ開始直前に顔を出してお客さんたちとも示し合わせて。
なんて手間のかかることをするのだろう。
今年の誕生日は忙しいからお祝いは無理だねと言ったばかりだった。
「びっくりした?」
「当たり前だよ!」
最近沢里がそわそわしていたのはこれのせいだったのだ。
観客の前だというのに泣かされてしまう。
渡されたケーキにかぶりつくと拍手が起こる。
