「君たちのお父さんとは地元が一緒でね。片田舎だったから小学校から高校まで一緒だったんだ。よくギターを聴かされたもんだよ。で、感想を求められるから困ってしまったね」
「父さんと?」
柾輝くんは驚いた顔で義父を見つめている。
「ああ。あいつがデビューしたときに手紙を書いてそれきり連絡を取っていなかったんだが……不思議な縁もあるものだね。こうして君たちの家族になれたんだから」
義父はしみじみと言って空を見上げる。
義父にもきっと色々なことがあって今ここにいるのだろう。
前妻とは死別したと聞いている。
家族の形は難しいけれど、私たちは今こうして同じ空を見上げている。
それはやはり奇跡だと思うのだ。
