「なにしに来たんだろ」
「さあ、でも美奈の言うことが本当だったら……」
ミニトマトを頬張る私を、土井ちゃんがじっと見つめる。首を傾げると土井ちゃんは呆れたようにため息を吐いた。
「凛夏、ちょっと大変かもね」
「なにが?」
「美奈みたいなミーハーに、目を付けられるかもってこと。なんか派手な先輩たちとつるんでるらしいし。気を付けてよね」
「ミーハー?」
それを言うなら当の沢里だって【linK】に対してかなりミーハーではないだろうか。
ファンだのなんだの言って、今思えば思い切り手も握られていた。
有名人だか芸能人だかの息子だと言うがソースもはっきりとしていない情報を鵜呑みにする気にもなれない。雰囲気だけで判断されて噂が一人歩きしている可能性だってある。
「あんまり気にしないでおくよ」
「そだね。あ、そういえば【linK】の新曲まだかなー」
そう、そんなことよりも新曲を完成させなければ。土井ちゃんをはじめ多くの人が【linK】の新曲を楽しみにしてくれている。
「多分、まだかかるんじゃないかな」
本人が余計なことを考えているから。
