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 爆発が起こったような大歓声に、私ははっと我に返った。

 鳴り止まない拍手と声援に、曲を歌い終えてしまったことに気付く。

 頭が真っ白でなにも考えられない。

 ただ分かることは、観客の放つとてつもない熱と、隣で沢里がボロボロと涙を零していることだけだった。

 また泣いてる。

 そう言おうとした瞬間、沢里にがしりと肩を組まれ、そのまま一緒にお辞儀をさせられた。

 そうだ、歌い終わったなら舞台からはけなければ。


「リンカーーー!!」

「ハルーーー!!」


 名残を惜しむかのような呼びかけにゆるゆると手を振って、私たちは舞台裏へと下がった。

「ちゃんと、歌えた、よね?」

 ぽつりと自分自身に問いかける。

 しまったと思った。途中から周りが見えていなかった。

 沢里だけを頼りに歌っていた。

 でもミスはなかったはずだ、そう無理やり納得する。