本番はこの会場いっぱいの人に見られながら歌うのだ。
思わず沢里の方を見ると、妙に硬い表情をしているものだからこちらも焦ってしまう。
「じゃあ二人とも音出してー」
その指示に従ってギターとキーボードを鳴らす。
屋外では音の聞こえ方がいつもと異なる。
このリハーサルでそれを把握して、本番に繋げなければならない。
私たちは楽器の確認をしながら無事に一曲歌い、リハーサルを終えた。
「よし、歌えるな!」
「うん。大丈夫そう、調子いいよ。沢里は?」
「バッチリ問題ない。指も動くし」
あっという間のリハーサルだったが、とりあえず今のところ主だった問題はなさそうだ。
硬かった沢里の表情も歌い終わると和らいだ。
自分の調子がいいと分かって安心したのかもしれない。
ひとまず安堵し控え室の扉を開けると、他の出演者たちが集まり始めていた。
中にはテレビで見たことのあるグループもいて、私はごくりと息を飲む。
やけに注目を集めているのは制服のせいかもしれない。
どう考えてもこの中に高校生は私たちしかいない。
