「はー、まあチケット渡したってだけで、本当に来てくれるかは分からないけど」

「ああ、それはこっちもそうだ。いや、でも、なんだよもー! 絶対怒られると思ってたからギリギリまで黙ってたのに!」

「私も今日言おうと思ってたんだよ。これだけ一緒に歌ってたら考えることも似てくるのかな」

「じゃあ俺が今考えてること分かる?」

 沢里はむくりと上半身を起こして問う。

「んー、ライブが終わった後のこと考えてる」

「あたり」

 降参とでも言うようにお手上げする沢里。

 明日のライブを終えたら。気が早いとは思うが私も考えている。

 もう【linK】として顔を出して歌うことにためらいはない。

 あれほど中学の時の仲間に【linK】であることを知られたくなかったのに、もうどうでもよくなってしまった。

 毎日のように罪悪感に苛まれ、誰かと歌うことすらできなかった自分はもういない。