ぱんっと両手を合わせて頭を下げる沢里。
「勝手なことして悪かった! でも、どうしても今のリンカの姿を見てほしかったんだ。お前は呼ばないって言うから、俺が――」
「ち、ちょっと待って! チケット渡したって、一体どうやって!?」
突然のことに頭が追いつかない。
沢里が私の中学時代の同級生と簡単に接触できるとは思えないからだ。
「リンカのお父さんに手伝ってもらって……」
「お、おとうさんに?」
聞くと串カツを食べに行ったあの日、ちゃっかり連絡先を交換していたらしい。
義父の協力の下、中学の部活の顧問を通してチケットを渡してもらったのだと言う。
開いた口が塞がらないとはこのことだ。
悪いことをした時の犬みたいに身を縮こませている沢里を見て、私は急におかしくなって笑ってしまった。
偶然にも、お互い考えることは同じだったのだ。
「ふ、あはははっ」
急に笑い出した私を怪訝な目で見る沢里に、息も切れ切れに説明する。
