君の隣で歌いたい。



「本名も凛夏っていうんだろ。じゃあリンカって呼んでも問題ないよな?」

「問題は……」

 そしてどこかから私の名前をインプットしたらしく、リンカリンカと何度も呼んでくる。恐らく私を【linK】と認識したから、その方が呼びやすいのだろう。

 そして私も苗字で呼ばれるのは、実は苦手だ。

「問題は?」

「……ない、けど」

 友人は皆私のことを名前で呼ぶ。新しい苗字に未だに慣れない私にとってはありがたいことだった。黙ったまま俯く私の顔を沢里はとびきりの笑顔で覗き込んでくる。

「俺、昨日の話諦めてないから。改めてよろしくな、リンカ」

 なんてなれなれしい男なんだ。そして距離が近い。

 私は沢里からぱっと離れ、そのまま教室に駆け込んだ。

 ああ、今日は穏やかに過ごしたかったのに。