「あー、よかったー」

 床に転がったままの沢里がしみじみと言うのを聞いて、これまで多大な心配をかけていたことを思い出し、私は膝をついて沢里の顔を覗き込んで礼を言う。

「沢里のおかげだよ。ありがとう!」

「俺の方こそありがとな! でもこれで終わりじゃないだろ?」

 そう、最終目標はサワソニの舞台で歌うこと。

 本番はもう一週間後に迫っている。

 たった一回の成功できゃぴきゃぴ喜んでいる場合ではない。

 しかし頭では分かっていても顔が勝手に緩んでしまうのだから仕方がない。

「俺らには当日リハしかないんだ。それも音響調整メインだからな。本番に向けて仕上げていこうぜ」

「うん!」