君の隣で歌いたい。



「リンカ!」

「ぎゃーーー!?」

 見間違いであってほしい。聞き違いであってほしい。

 しかし私の望みはどたばたと笑顔で駆け寄ってくる大男に打ち砕かれる。

 朝の校門なんて一番生徒が集まる場所だ。

 そこにいるだけで目を惹く沢里が、こともあろうに一直線に私の元へ向かってくる。にこにこにこにこ手を振って。

 周りの生徒たちの視線が全身に突き刺さるのを感じ、心臓が激しく鳴りだした。

 今すぐに逃げ出そうと構えるが、目の前に陣取る沢里のディフェンス力には敵いそうもない。私は諦めてがっくりと肩を落とす。

「おはようリンカ」

「ねえふざけてるの? 名前呼ばないでよ!」

「【linK】とは言ってない!」

「結局同じだからそれ!」

 どうやら私を待ち構えていたらしい。校門から教室まで付いてくる沢里はなぜだか嬉しそうにしている。