君の隣で歌いたい。



「うん、知ってたよ」

「え……」

「そうじゃないかなと思ってた」

 予想だにしない返答に私は顔を上げて目を剥く。

 土井ちゃんは腕を掴む私の手を外し、そのまま私の小指のほくろをそっと撫でた。

「あ……」

「そうだったらいいなと思ってた」

 そう言って目尻を下げて笑う私の親友は、最初から全てお見通しだったのだ。

 ぶわりと視界がにじむ。

「怒らないの? ずっと黙ってて、土井ちゃんが【linK】のこと話してるのをニヤニヤしながら聞いてたんだよ?」

「【linK】のことが好きで、凛夏のことも大好きだから怒らないよ。でも私から【linK】なの? って聞くのはなんか違うなと思って。だから、言ってくれてありがとう」

「土井ちゃん……!!」

 涙が雨と混ざって頬を濡らす。困ったように笑う親友は片手を私の背に回す。

 一本の傘の下で、私たちは雨に濡れないようにぎゅっと抱きしめあった。