君の隣で歌いたい。



「ちょっとちょっと、びしょぬれじゃん! 水浴びにはまだ早いって!」

 冷えて震える唇を無理やり開く。

 駆け寄って傘に入れてくれる土井ちゃんの腕をぎゅうと握り、私は息を吐いた。

「私が【linK】なの」

 呆れるほどそのままの言葉が震える息にのる。

 伝えることとその順序を散々考えたというのに、現実は思うようにいかない。

「黙っててごめんなさい……」

 縋るように土井ちゃんの腕を掴み、顔を伏せる。

 濡れた髪から落ちる雫が頬を伝って、そのまま首元に消えた。

 土井ちゃんの傘が水を弾くリズムと地面を打つ雨音が踊る。

 いつまでそうしていただろう。

 長く感じるがほんの一瞬かもしれない。土井ちゃんはそんな空白の後にゆっくりと口を開いた。