バスに揺られながら、私は必死に言葉を考える。
まずは、謝らなければいけないことを伝える。
黙っていたことがあると。
そして、私は土井ちゃんのことを大切な親友だと思っていることは必ず言っておかないといけない。
そして私が【linK】である、ということを伝える。
家庭や過去のしがらみで正体を隠していたこと。
沢里とライブに出るから観に来てほしいということ。
考えれば考えるほど自分勝手な話で、私は額に手を当ててため息をついた。
バスを降りると雨が少しだけ激しさを増して、傘を持っていないことに気が付く。
頭の先と肩からじんわりと冷たさが広がる。
土井ちゃんに連絡をしようとしたその時、雨音の向こう側から「凛夏!」と焦った声が聞こえた。
