どっちも私。どちらかが偽者じゃない。
歌うと決めたのは私で、その私は【linK】でもある。
目を閉じると【linK】として歌う私と、その隣に立つ沢里の姿が想像できた。
想像できることはつまり実現できるということに等しいのだと、どこかで聞いたことがあった。
前に柾輝くんに言われたことが、ようやくすとんと胸に落ちる。
「今回は【linK】でいく。【linK】として、私の姿を見せるよ」
「いいんだな? 土井や他の皆にも、【linK】ってバレるんだぞ」
「うん」
私はチケットを胸の前で抱き、土井ちゃんを想う。
【linK】のことをとても大切にしてくれる大好きな親友。
「私、土井ちゃんをライブに呼びたい。怒られてもいい、根に持たれてもいい。【linK】を隠してたこと謝って、私の全力を見てほしい」
黙っていたことを仕方がなかったと言うつもりはない。
ただ、土井ちゃんの情熱に支えられて【linK】は歌ってきたのだということを伝えたい。
私が私の姿でちゃんと。
