幸いにも私は理系科目が得意で、沢里は文系科目が得意。

 つまり互いの苦手な部分を教え合うことができる。

 そうしているうちに西日が手元を照らし、やがて暮れていく。

 いつから沢里と音楽以外のことでもこうして当たり前に一緒にいるようになったのだろう。

 私はふと向かいに座る沢里を盗み見る。伏せられた目に長いまつ毛が影を作っている。

 その長さを少しでもいいから分けてほしいとぼんやり思っていると、不意に目と目が合った。

「こら、集中」

「はい」

 結局図書室が閉まるギリギリまで勉強し、私たちは帰路に着いた。

 集中して勉強すると糖分がほしくなる。

 コンビニで買ったアイスモナカにかぶりついていると、沢里が思い出したように言う。