一方沢里は転校後初の試験ということもあり、授業の進み具合やカリキュラムの差がある中で健闘した方だと思う。
文系科目に至っては私よりもはるかに点が高い。
バックコーラスの練習もして私のトレーニングにも付き合ってくれていたというのに一体いつ勉強していたのか。
沢里の影の努力に私は焦る。
前にも思ったが、音楽でもすぐに置いていかれてしまいそうなのに勉強でも敵わないとなると激しく劣等感を抱いてしまう。
「やばいやばいマジでやばい」
「再テストまで特訓はお預けだな」
「うん……」
週明けの再テストまで猛勉強しなければ、母の気が変わってライブに出るなと言われかねない。
sawaさんも赤点を取ってまで特訓しろとは言っていないのだし、勉強を疎かにして白い目で見られたらたまらない。
「学生の本分は!」
「学業!」
その言葉を合図に、二人でただがむしゃらに机に向かった。
