君の隣で歌いたい。



 どれだけ息が続くか見られている。

 そのためにわざとゆったりとした歌を歌わせている。

 sawaさんの意図に気付きどきりとするが、そもそも息もれについて相談しに来たのだから呼吸を観察されるのは当然だ。

 むしろちゃんと見てくれていることに感謝しないといけない。

 無事に歌い終えると今度はsawaさんの指示が沢里に飛ぶ。

 沢里はひとつ頷いて私の横に並んだ。

「じゃあ次ユニゾンで」

 来た。私は思わず身構えた。

 ユニゾンとは同じメロディーを複数人で歌うこと。

 沢里と一緒に声を合わせるということだ。

「大丈夫、気を楽にな」

「うん」

 沢里とでなければ素直に頷けないだろう。私は息もれを克服したい。

 そしていつか沢里と歌ってみたいのだ。

 【linK】の曲を丸々一曲、止まることなく。

 前奏が流れる。私は強い気持ちを持って声を出した。