「コメント見ただろ? 俺のコーラスが受け入れられないって思ったらすげー苦しくてさ。リンカにもういらないって言われたらどうしようって不安だったんだ。だからって泣くことないよな! いや、すまん! 俺かっこ悪いし情けないわ」
「だから、謝らないでってば。私が悪いの。それに、アンチコメントは気にしないで。今に始まったことじゃないし」
「ああいうのとも一人で戦ってたんだなリンカは。すげーや」
「相手にしてないだけだよ」
沢里は私を許してくれたようだ。しかしその声に覇気は戻らない。
沢里の心はまだ晴れていない。私は胸が詰まる思いで沢里に語りかけた。
「沢里は私のこと何度も助けてくれたのに、私はそんな沢里を苦しめて泣かせちゃって。酷いやつだと思ったでしょ? これじゃあ釣り合ってないって言われて当然だよ。コーラスも、もしやりたくなくなったらいつでもそう言って」
私が沢里のコーラスを気に入ったからと言って、沢里を捕まえておく権利はない。
いつでも私から離れていいのだ。沢里にはいやいや歌ってほしくない。
「違うんだよリンカ」
「え……?」
しかし沢里はまた辛そうな声に戻ってしまう。
また言葉を選び間違えたかと冷や冷やしていると、沢里がゆっくりと切り出した。
