新しいことをしようとすると、反発されるのが世の中だ。

 コーラスも全て私一人で歌った曲にだってアンチコメントはつく。

 初めの頃は一言一言に傷つき悲しくなったが、【linK】を続けていくにつれてそういうものだと学んで今に至る。

 しかし沢里がこのコメントを見ていたら? 今頃悲しい気持ちになっているのではないか。

 むしろ見ていたからこそ私の無遠慮な言葉に涙してしまったのでは?

『俺じゃあだめなのか』

 そんな沢里の呟きを思い出し、いてもたってもいられずスマホをタップする。

 メッセージを送るかどうかで悩んでいたことも忘れて迷わず通話ボタンを押した。

 短いコール音の後に「はい」という沢里の声が聞こえた瞬間、私は我に返る。

 話すことをなにも考えていなかったことに気付き、自分の阿保さ加減に呆れて頭を机に打ち付けた。