「ひ、ひとちがいです」
「違わない! 絶対に【linK】だ!」
その自信満々の態度に頭を抱える。
耳がいい? それだけで私が【linK】だと分かったと言うのだろうか。
「はい、消しゴム。落ちたよ」だけで? 本当に?
今起こっていることが信じられず、なにか言いたいのに言葉が出ない。口をぱくぱくとしているとまた手を取られる。
「あと、ここ。小指にほくろがある。【linK】と同じだ」
もはや完敗だった。配信時にほくろを気にした事なんてなかった。
消しゴムを拾ったあの一瞬、声と手を見て彼は私を見抜いたのだ。
「あ、あなたは……一体」
「俺は沢里初春。【linK】、俺と音楽ユニット組んでほしい!!」
がっしりと両肩を掴まれ、とんでもなくキラキラとした顔でとんでもないことを言われた私は、襲いくる頭痛に耐えることしかできなかった。
