「嘘ついたでしょう」
「へ?」
「とぼけないでよ、沢里くんと友達じゃないって言ってたくせに! なんで沢里くんがあんたのことかばうのよ!?」
「かばう?」
突然因縁を付けられ目を白黒させていると、美奈は真っ赤な唇を歪ませて吠える。
「先輩たちに言われたんだよ。沢里くんにキレられたって! あんたに近づくなって言われたって。おかげで私ハブられてんの!」
「かばうとかキレるとか知らないよそんなの。大体美奈が私のこと先輩たちに売ったからそうなったんじゃないの。あの先輩たちをけしかけたのって美奈でしょ?」
「うるさい!」
肩を強く押される。前回の経験から私は足を踏ん張ってよろめく程度で済んだ。
しかし美奈は構わず鬼の形相で体を寄せてくる。
「なんであんたばっかり! 全然釣り合ってないのにどうしてよ!?」
「ちょ、ちょっと揺さぶらないで」
胸倉を掴まれて前後にぐわんぐわんと揺らされる。まるで子供の喧嘩だ。
