沢里と歌いたい気持ちの反面、やはりまだ昔の仲間に【linK】のことを知られるのが怖い気持ちが残っている。
自分たちのコンクールを台無しにした私を、部員たちはきっと許していないだろう。
好きに歌っている私を憎むかもしれない。
【linK】を叩くかもしれない。
そう思うと顔を出せないのだ。
しかしそれはそれ、これはこれ。【haru.】の初参加作品ともなった新曲の再生回数は休み時間に見る度伸びる。
ほくほくとした気持ちで午前中を過ごし、ランチタイムに突入した時にそれは起こった。
「ちょっといい?」
「ええ……」
土井ちゃんと中庭に行こうとすると、不意に腕を引っ張られる。振り向くとそこには険しい顔をした美奈が立っていた。
私は露骨に嫌な顔をするが、構わずずるずると廊下の先のピロティにまで引きずり出されてしまう。
