君の隣で歌いたい。

♢♢♢


 それは秋の終わりが近づく頃だった。

 所属していた中学の合唱部は全国でも強豪と名高い名門で、毎年全国合唱コンクールの大舞台に立っていることを誇りとする厳格な性質を持っていた。

 地方大会を勝ち抜くことは当然であり、全国で賞を取ることだけが目標。

 部員たちは毎日歌に向き合い、声を重ね、コンクールに向けて真面目に取り組んでいた。

 私もその中の一人で、また副部長という立場上、部員たちを厳しく指導することも多々あった。

 当時の部長は気が弱く、人に注意をすることを苦手としていたから余計に私が怖がられていたと思う。

 部長が飴、私が鞭役になり部を目標へと導こうというのが私たち三年生の方針だった。

 そんな私たちのやり方が功を奏し、無事に地方大会を勝ち抜いて全国への切符を手に入れたそんな矢先のことだった。