「え!?」
斜め後ろに座っていたのは、なぜか私より驚いた顔をしている転校生。
彼が斜め後ろの席にいたことすら気付いていなかった私はいきなりの出来事に硬直する。
なんで手を掴まれているの?
なんでそんなに驚いた顔をしているの?
周囲の生徒も首を傾げている。
私だってできるものなら首を傾げまくりたいし消しゴムを拾っただけだと弁明したい。
しかし体勢的にそれはつらい。しかもまだ授業中だ。
「あの、なに? 放してもらえるかな」
手を引き抜こうとするがいかんせん相手の力が強い。
消しゴムごとぎゅうっと握られる手と、全く外されない視線に私はすっかり参ってしまった。
「お前…………」
我に返ったようにようやく口を開いた彼は、驚きの表情から見る見るうちに花が咲くような表情へと変わる。
え? なに? などという私の問いは全く無視され、握られていた手はついにがっしりと両手で包み込まれてしまった。
「【linK】!?」
「え…………!?」
彼の歓喜の叫びとともに、間抜けにも授業終了のチャイムが響き渡った。
