驚かせてしまった、心配をかけてしまった。 それなのに沢里は、私の息もれについてなにも聞いてこなかった。 「ん」 「あ、ありがとう……」 なんでもないようにコンビニで買った二連のアイスを割ってこちらに差し出してくる沢里に、辛抱ならず問う。 「ねえ、どうしてなにも聞かないの?」 「んー」 沢里はアイスをくわえながら空を見上げる。 私はいたたまれない気持ちを持て余し、もらった片割れアイスをひたすら揉んでいた。 なかなか柔らかくならないそれを両手で包み込むと、急速に熱がアイスに吸われていく。