「バグってるんだ……私。おかしいよね。【linK】の時は全然平気なのに。人と合わせると突然息もれするの。びっくりさせてごめん」
「謝るなよ。でも、そうか……だから人と歌わないって言ってたんだな」
次第に息が整ってくる。沢里には情けない姿を見せてばかりだ。
背中を撫でる沢里に礼を言って、上を向き二回深呼吸する。
苦しくなったらまず深呼吸。息もれで呼吸ができなくなる私を見た柾輝くんに言われたことだ。
このクセが出始めてから柾輝くんに息もれを治すトレーニングに付き合ってもらっていたが、しばらく様子を見た後、無理をする必要はないと判断されてしまった。
ゆっくり直せばいい、それまで一人で歌えばいい。それが【linK】を始めるきっかけでもあったのだ。
「な、リンカ。少し外の空気吸いに行こう」
息が落ち着いた頃、沢里の気の遣うような提案に乗り近所のコンビニまで歩くことにした。
