「とにかく恋人がいてもおかしくないって事。
あんなにカッコよくて、性格が明るくて楽しくて、異常なほどに余裕があって。
沙羅、彼は仕事で沙羅の恋人を演じてるんだからね。それを忘れちゃだめだよ」
沙羅は泣きそうになるのをグッと堪えて分かったふりをする。
「でも、好きになっちゃったらしょうがないよ…
僕もあと三日翔と一緒にいたら、取返しがつかないくらい好きになると思う。
沙羅なんて、演じてるとはいえ、あんなに大事にされれば、誰だって100%翔を好きになるよ」
ウィルは共感能力が誰よりも優れていて、きっと、もう、沙羅の気持ちを完全に分かっている。
だけど、それでも、沙羅は何も言わない。言葉にしてしまえば、それは言霊となって自分を苦しめるはずだから。



