沙羅は806号室でミナとウィルと大騒ぎをしている。
ルームサービスでありとあらゆる料理を注文して、持参したおやつや飲み物をテーブル一杯に広げて、思い出話や現在進行形の恋話などで話しは尽きない。
「沙羅、翔はダメだよ。
翔のあのスマイルは仕事のためだからね。心まで持っていかれちゃダメだよ。どっちにしても日本とアメリカで離れてるんだから」
ミナは沙羅の事を心配してそう言ってきた。ミナは恋愛で痛い思いをしている。大学の頃付き合っていた彼は、ミナが日本へ行った途端、すぐに違う彼女を作った。だから、特にそう思っていた。
でも、沙羅はそんなミナの忠告を素直に聞けない。翔と出会ってたったの二日間なのに、こんなに苦しいほどに好きになっている。沙羅は何も言わずにミナの話を聞いていた。
「それに…
沙羅は翔の事をまだ何も知らない。
もしかしたら、彼女がいるかもしれないでしょ?」
「彼氏かもよ?」
ミナとウィルは顔を合わせて頷いている。



