美魔男の完璧な仕事に心が溺れる



 そう言って、翔はミナに通訳を任せる。全然英語で話せるけれど、話せない役を演じているからしょうがない。ミナは慌てて英語に訳して、その相手に丁寧に伝えた。

「そうなんだ~ この間、見た写真とそっくりだったから。
 ごめんね、食事中に」

 その男性はそう言うと、すぐに自分のテーブルに戻った。戻ったけれど、まだ三人の表情は固い。翔は素直過ぎる三人が可笑しくて笑ってしまう。

「時間があまりないから、さっさと食べよう」

 翔がそう言うと、三人は慌てて食べ始めた。翔はそんな三人を見ながら、観光客が大勢いる場所はできるだけ避けようと決めた。沙羅を知っている人間は日本より海外の方がはるかに多い。隠し撮りをされてSNSで拡散されたらたまったもんじゃない。
 翔は心配そうにみんなを見つめている沙羅と目が合った。そんな沙羅に最高級の微笑みを返す。逆にそういう温もりのある微笑みが自分の中にあったのかと、半分驚きながら。