「そんな犯罪がらみの案件じゃないみたいだし、俺が大切なお姫様を守るだけの話だよ」
「また女の子の方が翔に惚れるパターンだね。
両想いになることなんて絶対ないのに、マジで可哀想」
翔は肩をすくめてはにかんだ。
「最近は、冷たく接するようにしてるんだけどダメみたい。ま、俺の魅力に神様もひれ伏すっていうくらいだから」
七海は苦笑いをしながら、あり得ないというジェスチャーをする。そして、翔の肩に手を置いて、自分のデスクへ戻って行った。
翔はそんな七海に手を振って、疲れたようにソファにもたれかかる。そして、唐澤からスマホに送られてきたファイルを開けてみた。
サラ・ディアス、日本名、道谷沙羅。
明後日には日本に来るらしい。
翔は大きくため息をついた。この二日間で全ての情報を把握して、完璧なボディガードとして沙羅の前に現れなければならない。
翔はようやくスイッチを入れ始める。スイッチが入ったら、翔の仕事は完璧になる。



